戦後の混乱から10年で劇的な復興を遂げた日本。明るい希望に満ちた新しい
時代として昭和30年代は始まった。昭和31年度の『経済白書』に「もはや戦後ではない」
と記されたことが象徴するように、日本経済は敗戦から立ち直り、高度成長期に突入していった
昭和30年代。それは家族そして地域といった昔ながらのコミュニティが息づく一方で、
新しい時代の到来を感じる「三種の神器」(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)などの商品が登場
するなど、「変化」をみんなで共有した「昔と今」が混在した時代であった。
そこには、世代を超えて「日本のなつかしい時代」という共感がある。
そして、平和と繁栄を享受する一方で、我々日本人は、大切な何かを失ってしまった
ような気がする。核家族化の進行や人間関係の変化の中で、少年犯罪やひきこもりなど
社会の新たなひずみも起きている。そんな今、改めて高度成長期以前の日本に目を向け、
昭和を振り返り、豊かさを追求してきた日本人が時代とともに置き忘れてきたものとは何かを
考えてみるのもいい。
昭和30年代のイメージをインスツゥルメント(歌のない曲だけの音楽)で演奏したこのCDを
憩いの一時に、あるいはお店のBGMにご推薦いたします。
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